自転車で酒気帯びの上ひき逃げ

以下のようなニュースがありました。

自転車を飲酒運転し、歩行者に重傷を負わせて逃走したとして、警視庁四谷署は7日、重過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)容疑で、東京都台東区の会社員の男(31)を書類送検した。警視庁によると、都内では昨年1年間、自転車と歩行者の事故は1073件発生しているが、自転車の飲酒運転によるひき逃げの摘発は珍しいという。
(中略)
 男は普段から速度が出るスポーツタイプの自転車で通勤し、帰宅途中だった。現場に自転車を残しており、四谷署が事故から約2時間後に所有者の男を呼び出し、呼気検査で酒気帯びが判明した。
引用元:-http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100507/crm1005071944034-n1.htm

さて、このニュースですが「酒気帯び」(飲酒運転)だったのですが、その件については逮捕の理由には入っていません。これは何故でしょう?

まず、飲酒運転については、道路交通法第65条にて禁止されています。

第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)
 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

これに関する罰則規定が第117条の2に規定されています。

第百十七条の二
 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

すなわち、いわゆる「飲酒運転」(正常に運転出来ない状態)については、罰則が規定されます。ところが、そこまで酷くないけどアルコールが検出される状態、いわゆる「酒気帯び運転」については、第117条の2の2の規定となります。

第百十七条の二の二
 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一  第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

こちらでは、「軽車両を除く」、即ち自転車が除かれているのです。ということは、「自転車の酒気帯び運転は禁止されているけど、罰則規定がない」ということになります。従って、最初のニュースにあるように「酒気帯び運転」が逮捕の理由に挙がっていない訳です。

しかし、あくまでも法律では「禁止」されていますので…お気をつけ下さい。